2014年3月17日月曜日

分かりやすい話は嘘かもしれない

こういうことは小説のネタとしてストックしてあることなのですが、最近思うことがあったので……

よく「頭のいい人は難しいことを分かりやすく説明できる」とか「本当に理解している人は(以下同文」とか言って、まあすぐに反例の見つかる嘘ですが、本気で信じている人の多いことに驚くのです。

この派生形で「分かりやすく断定的なことをいう人は頭がいい(よく見える)」というのもあって、むしろこちらの方が普遍的に観測されているかもしれません。が、本質的に上の信念と共通するものがあります。

でも、難しい事柄はやっぱり簡単には理解できないほど難しくて、それを簡単に見せかけているということは、必然的にどこかしら嘘が入っているということです。

よく出来た嘘ならそれは「近似」であり、本当に上手な近似はそれ自体が真実に準ずるものとして取り扱われたりします。たとえば、ニュートン力学とか。

でも、中には荒唐無稽な嘘や場合によっては悪意による嘘もあって、むしろ確率からいえばこちらのほうが多いので、処世術としては「分かりやすい=嘘」と考えておいたほうがいいんじゃないかと思うのです。

しかも、元が難しい事柄だから、それが嘘なのかどうか、どの程度真実に近いのかどうかを知るすべは、もともとの難しい事柄を難しいままで理解する以外にはないのです。もっと言えば、自力で嘘を見破ることは不可能です。

だから、その事柄をよく理解している専門家がたくさん集まって議論して真偽を判定するのを待つのだけが、正しさを判断する唯一の手段なのです。1人の専門家じゃダメです。なぜならその「専門家」が本当に理解しているかの判断すら、自力では不可能だから。

何が言いたいかというと、万能細胞の件は極端から極端に振れすぎです。もうちょっと落ち着いて成り行きを見守るべきじゃないかと思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿