2017年8月28日月曜日

小説投稿サイト比較

先週から拙作「ホムンクルスはAI羊の夢を見るか?」を小説家になろう、ハーメルン、アルファポリスの3サイトに投稿しています。背景にはこちらで書いた事情があり、要するに今後なろうに投稿するのは止めて別のサイトに投稿するのを検討しているということなのです。これがそれぞれのサイトに投稿した小説へのリンクです。
最初の投稿から約1週間経ったので、それぞれのサイトを比較してどのサイトがベストかということを考えてみました。

アクセス解析
自分の小説がどの程度人に読まれているのかを知るにはアクセス解析が必要です。人によって目標とするところに違いはあるとは思いますが、私の場合は読者数が小説を書く目標になっているので、アクセス解析はとても重要になります。

アクセス解析で見る項目にはPVとユニークアクセスの2つの項目があり、PVはページの総ロード数、ユニークアクセスはアクセスした重複なしの人数を示しています。このうち読者数に近いのがユニークアクセスです。というのは、PVは同じ読者が何ページも読むと、それをすべて数えてしまうからです。

本当の意味での読者数を数えるのはユニークアクセスでは粗過ぎです。なぜなら、ユニークアクセスは扉ページだけ見て引き返した人も含んでいるからです。ページ別ユニークアクセスはより詳細に小説を読んだ人数を示してくれます。さらに、繰り返しアクセスなどの分析を用いれることができれば継続して読んでいる読者数を知ることができます。

アクセス解析が最も充実しているのはハーメルンです。アクセス解析のツールは見やすくできていて、PVとユニークアクセスの両方が大きなタイムラグなく即時に反映されます。時間帯別、期間指定、ページ別などの詳細な分析も可能です。

小説家になろうは貧弱ながらアクセス解析を備えています。PVは数分から十数分遅れ、ユニークアクセスは24時間遅れで表示され、ツールの操作性もよくありません。時間帯別は最新2日間のみ、期間指定は不可です。ページ別は備えていますが、操作性が悪すぎて使用に耐えません。

アルファポリスにはアクセス解析はありません。(万が一見落としていたら教えてください。)なので、24hポイントという独自のポイントから推定するしかないですが、24hポイントの計算式は公開されていないので事実上何もわかりません。

ランキング
ランキングはどのサイトでも最大の新規読者の流入元になります。なので、読者数が順調に増えるかどうかはランキングに入るかどうかが大きな要因になります。

ランキングは基になるスコアがあります。スコアの計算方法は各サイトが何を重視しているかを示しています。また、ランキング入りするかどうかはランキング内のスコア分布が重要です。特に最低点を超えるかどうかは全か無かの違いなので極めて重要です。

スコアの計算で最大の違いは、総数か差分かということです。総数とはその時点のすべての読者数に比例したスコア、差分とは読者数の増加分に比例したスコアです。総数を使うと安定して読者の支持を受けている作品が上位に上がり、差分を使うと新しく人気を集めつつある作品が上位に上がる傾向になります。

小説家になろうは24時間の差分スコアを使っています。総合スコアと呼ばれるお気に入り数と評価ポイントの加重和の24時間における増加分が基礎となります。ランキング入り最低点は現在では80点程度です。これは評価ポイントの入り方にもよりますが、大体24時間以内に30人くらいからお気に入りをもらった程度になります。

アルファポリスはスコアの計算方法は公開していません。が、総数スコアであり、主に24時間のユニークアクセスと投稿話数(あるいは投稿文字数)の加重和を基礎にしていると推定されます。ヘルプにはお気に入り数とコメント数も挙げられていますが、どちらも影響は少なそうに思われます。

アルファポリスは総数を使っている関係上、そのままだとランキング上位は有名作品に固定化する傾向があるので、HOTランキングという新規投稿作品のみを対象にしたランキングがありますが、これはスコアすら非公開で何を基準にしているのか全く不明です。

(追記 8/29:アルファポリスは単純な総数スコアだと思っていたのですが、ランキングをつぶさに見てみるとHOTランキングの影響を考慮しても文字数の少ない小説が上位に多すぎる気がします。もしかすると総数を文字数で割り算するというようなことをしているのかもしれません。)

ハーメルンは2つのサイトの折衷方式です。24時間のユニークアクセスと、お気に入り、評価ポイントの増加分を組み合わせています。式から推定して、両者のバランスは半々になるように調整されているのだろうと思われます。ただし、スコアは公開されていません。

総数スコアに比べ、差分スコアは理解の難しいスコアです。一度ランキング入りしても読者が離れているわけでもないのに順位が下がってランキングから外れることが少なくありません。しかし、にもかかわらずランキング常連作品というのも存在するという矛盾があります。

これは、差分スコアによるランキングで順位を維持するには継続的な読者数の増加が必要であるためで、一時的に読者が増加しただけではその時だけしか順位が上がらずすぐに元に戻ってしまうからです。

ただし、読者数の増加数は既存読者数に比例する傾向があり、既存読者数が多くなればなるほどランキング入りに必要な読者数の増加分を稼ぐのが容易になる傾向があります。ランキング常連作品が成立するのはそのためです。

ランキング・テクニック
ランキング方式の特性によってランキングの順位が上がりやすくなる手法があります。明らかに不正と言えるものから通常の努力の内と考えられるものまで幅がありますが、ここでは通常の努力の範囲内と考えられるものを挙げていきます。

小説家になろうは差分スコアであるため、テクニックの影響を多く受けやすくなっています。比較的少ないスコアでランキング入りすることが可能であるためです。これは宣伝努力の効果が高いという良い面と不正を行いやすいという悪い面があります。

正攻法のテクニックは自分が書いた他の作品の読者に向けて宣伝をして、新しい小説を読んでもらうことです。SNSなどでの宣伝もよいです。大切なことはできるだけ多くの読者に同じ日にアクセスしてもらうことです。ランキングは24時間以内の総合評価の増分で決まるからです。

ただ、このやり方でランキング入りするには少なくとも30人にお気に入りを付けてもらい2人に評価ポイントで最高点を付けてもらわないとランキング入り最低点を超えられません。宣伝の集客率が10%とし、そのうちさらに10%がお気に入りをつけてくれるとして、3000人に宣伝をする必要があります。恐らく、実際にはさらに多くの人にリーチする必要があるでしょう。これだけの読者を他の作品で抱えているということは、既にランキング入り作品を少なくとも1本は持っていると考えられます。

しかし、実際にはこれよりもっと簡単な方法があります。何人かの友人に評価ポイントを付けてもらうようにお願いすればいいのです。お気に入りと評価ポイントで合わせて最大12点が入るので協力的な友人が7人いればランキング入り可能です。例えば学校の文芸クラブのようなところで部員同士で協力しあうなどです。ずるく感じるかもしれないですが、知り合いに小説の宣伝をすることはごく普通の活動ですから不正とは言えないと思います。

これが発展して、自分でダミーアカウントを何個も作って一斉に評価ポイントを付けることもできますが、これは不正です。

個人的には後の2つで書いたような、ごく少人数の協力でランキング操作ができる現状はランキングの信頼性を失わせることになり改善するほうがよいと思っています。シンプルなやり方はランキングのスコアから評価ポイントをなくしてお気に入り数だけにすることです。評価ポイントの点数が大きすぎることが少人数でのランキング操作を可能にしているのですから。

アルファポリスの場合、総数スコアであるので少人数によるランキング操作は難しいと思います。しかし、投稿話数のウエイトが高いという特徴があるようなので、分割して短期間に連続投稿することで読者数以上にスコアを稼ぐことができるようです。また、お気に入りやコメント数もスコアに影響するので友人を活用することもできるかもしれないですが、計算式が公開されていないのでどの程度の上乗せになるかは不明です。とにかく、それらの活動でHOTランキングに乗ることを目指すのが基本だと思います。

ただ、小説家になろうとは違い、HOTランキングにいられるのは最大1ヶ月なので、その間に出版を決める位のことがなければその後もランキングに残り続けることはできないと思われます。

ハーメルンは基本的に小説家になろうと同じやり方になると思います。評価ポイントのウエイトが小説家になろうよりもさらに大きいので、少人数によるランキング操作はよりしやすい傾向にあると思います。ただ、ユニークアクセスが式に入っているので、既に人気の作品と戦わなければならない難しさはあります。

作品傾向
書くまでもないかもしれないですが、ハーメルンは2次創作がメインコンテンツの投稿サイトです。か、オリジナル作品も投稿されていてランキングにも入っています。投稿小説の約1割がオリジナル作品でランキングにも同程度入っているので、それなりの存在感はあります。オリジナル作品を読む読者の数もそれなりにいるという印象です。

小説家になろうはR18作品の投稿はできませんが、残りの2つはできます。ただし、ハーメルンはR18作品は別のランキングになります。アルファポリスだけはR18作品を普通の作品と混在させてランキングに入れています。

タイトル、あらすじなど
ランキングで上位に表示されたとして、読者の目に留まらなければ小説は読まれません。なので、ランキング上での小説の見え方については気を配っておく必要があります。

小説家になろうはランキングではほぼタイトルしか表示されません。パソコンからなら詳細ランキングに進むとあらすじやタグも見えますが、スマホでは詳細ランキングに進んでもタイトルしかありません。なので、小説家になろうにおいては、読者を引き付けるのに必要な情報はすべてタイトルに入れてしまう必要があります。必要以上に長いタイトルの作品が流行するのはそういう作品が読者を集めやすいという経験則から来るのだと思います。

ハーメルンではパソコンならタイトル、あらすじ、タグのすべてが、スマホでもタイトルとタグが見えています。なので、小説家になろうとは違いタイトルにすべてを込めようとする必要はなく、タグの方に必要な情報を分散させておくことができます。

アルファポリスでは逆に、パソコンではタイトル、あらすじ、タグのすべてが見えますが、スマホではタイトルとあらすじしか見えません。加えて特徴的なのはサムネイル画像を1つ表示することができます。やはりここでも、小説家になろうのようにタイトルにすべてを込める必要はなく、あらすじやサムネイル画像に情報を分散させることができます。

個人的には小説家になろうはもう少しランキングのUIを真面目に改善すべきだと思います。最も活用されると思われる日間ランキングへの導線が分かりづらかったり、人気ジャンルであるはずの異世界転生をジャンル別ランキングから除外したり、ジャンル分けの粒度に統一感がなさすぎたり、タイトルしか表示されなかったり。わざと使いにくくしたいのでなければ何なんでしょう?

結論
ノクターンに行きます。

2017年8月1日火曜日

新作

最近、また新作を書いています。幼女戦記を見て戦争物もいいかもと思ったというのがきっかけですが、書いているうちに割りと面白くなって来たので、猫魔女並の良作になるのではと期待しています。

ちなみに、仮タイトルは「人造妖精は人工知能の夢を見るか? ~異世界でホムンクルスに転生した軍用アンドロイドの物語~」ということで、内容もサブタイトルから想像する通りです。

人工知能ネタをハスケルのネタ帳から持ってきて、脳内で主人格とAIが対話するという下りを新かぐや姫やコウガイビルから持ってきて、とこれまでの小説のネタも適宜混ぜていたりします。

夏休みに書き溜めてお披露目はお盆明けくらいになるかと思うので楽しみにお待ち下さい。